数年前、国内店舗数トップクラスの大手チェーンでセラピストの副業をしていたことがあります。「隙間時間にスマホで出勤入力するだけ、好きな時間に働ける」という魅力で始めましたが、結論から言うと虚弱体質の私には合いませんでした。
始めたきっかけ
もともと体が丈夫な方ではないのですが、「週1回、2時間からなら私にもできるかも」と思ったのが間違いのはじまりでした。子供の長期休みも1ヶ月以内なら自由に休めるとのことで、試してみることにしました。
研修店舗から逃げ出した
最初に研修を受けた店舗は、外も汚かったのですが特にスタッフの控え室がひどく、見たことがないほどレンジや冷蔵庫が黄土色に汚れていて、カイジの世界みたいだと思いました。スタッフの柄も悪く、喫煙率が高く、他スタッフへの怒鳴り声やギャンブルの話がよく聞こえてきました。スロットの話や新人の悪口で盛り上がっている声も日常的でした。
ほこりアレルギーがあり、あの環境では症状がとても強く出てしまいました。薬や吸入器でも悪化したため、その店舗では働くのをやめました。
このチェーンは店長が常駐しない仕組みで、清掃や雰囲気は古株スタッフに委ねられています。そのため店舗によって環境が全く違うようです。
現実は甘くなかった
技術が上達しない
週1回では手が感覚を忘れ、いつまで経っても上手くなりません。週2回にすると家事に支障が出るほど体調が悪くなりました。1日何件もこなさないと上達しないそうで、週1回ではどうにもなりませんでした。
平日の昼間はお客さんがいない
待機時間は1円も発生しない完全出来高制でした。平日昼間は客足が少なく、1日1件か0件のどちらかでした。
都市部の立地のいい店舗なら来店数も多く技術向上につながるかもしれませんが、私が働いていたのは車がないと来られない田舎の店舗。集客自体が少なく、スタッフが余っている状態でした。完全出来高制なのでスタッフが多いと一人あたりの稼ぎが少なくなります。そのため「あのスタッフを他の店舗に移動させるべき」という話が出て、実際に移動させられたスタッフもいました。
古株さんの壁
実際に働いた店舗は研修店舗よりはマシで、優しく親切なスタッフが多かったです。ただ、長年働いているのに指名が取れない古株のスタッフが1人いて、その方だけあたりがきつかったです。
控室には鍵付きロッカーがなく、自然と財布をポケットに入れて持ち歩くようになりました。盗難はありませんでしたが、油断できない雰囲気でした。
同期のスタッフに、かつて自分でお店を経営していた経験を持つ凄腕の方がいました。技術を惜しみなく教えてくれる優しい方で、すぐに指名を取れるようになっていました。しかしその実力が目立ったからか、毎日のように他店に移動するよう言われ、移動させられてしまいました。「順番だけは間違えないようにした方がいいよ」と教えてくれたのもその方です。指名が取れない古株スタッフはこの方に特にあたりがきつくなっていきました。その凄腕の同期の方も、指名を多く取る古株スタッフから「施術時間を長くしすぎている、止めるように」と言われることがあったそうです。
新人や実力のあるスタッフが働きにくい仕組みになっていると感じました。このお仕事で生き残るには、技術力、指名を取る力、嫌がらせに屈しないメンタルの強さ、これら全てが必要だと思います。正直、私にはどれもありませんでした。学歴不問で働けるため、さまざまな方が集まる環境でもあります。
体調が悪化した
一番の誤算は体力の消耗でした。指の皮がむけてボロボロになり、頭痛が悪化して週1回の勤務後に2日は寝込むようになりました。
週2日ほど土日祝に入って月10万ほど稼げると言っている人もいましたが、1日に何人も揉み続ける長時間勤務です。ガタイのいい男性スタッフがそうやって働いているのを見て、「こんなに大変な思いをしてこの金額か」と思いました。その瞬間、夫に本当に感謝しました。
指名客が多い人気スタッフは基本の取り分に加えて指名料も入るため収入は増えますが、体力がなければ続けられない仕事です。
私は週1回、昼間の4時間だけ入っていましたが、4ヶ月ほどでシフトを入れなくなりました。特にやめる手続きもなく、シフトを入れなければ自然に終わる仕組みです。やめやすい反面、続けにくい仕組みでもあると感じました。結局、指名を1件も取れないままフェードアウトしてしまいました。
この副業に向いている人・向かない人
向いている人:
- 体力があり、マッサージをしても疲れない人
- 技術力と人柄があり指名客を取れる人
- 土日・祝日・夜の時間帯に働ける人
- 集客の多い都市部の店舗で働ける人
向かない人(私のようなタイプ):
- 体力がなく、疲れが翌日に残る人
- 古株ルールに馴染めない人
- 技術に自信がない人
業界全体について感じたこと
来店されるお客さんを見ていると、リラクゼーション目的というより、本当に体がしんどくてメンテナンスのために来ている方が多い印象でした。
ただ、マッサージは毎日の生活に必須なものではないため、生活が忙しかったり、お金に余裕がない時期は後回しにされやすいサービスだと思います。業界全体として経営が厳しい背景があるのかもしれないと感じました。
知人に個人でマッサージ院を経営していた方が数名いましたが、技術力がある方ばかりにもかかわらず、集客が難しくてやめてしまったという話を聞いています。技術があっても集客できなければ続けられない、厳しい業界だと思います。
まとめ
- 「隙間時間に働ける」という魅力で始めたセラピスト副業
- 研修店舗が廃墟のような状態でほこりアレルギーが悪化して逃げ出した
- 店長不在で店舗によって環境が全く違う
- 週1回では技術が上達しない
- 田舎の店舗は集客が少なくスタッフ間の競争が激しい
- 指名取れる人は技術力も人柄も良かった
- 体力を消耗して2日寝込むようになった
- 指名を1件も取れないまま4ヶ月でフェードアウトした
- どの職業を選ぶかは本当に大切だと実感した
- 息子には勧めない
寝込んだ時に使っていたアイテム
体を酷使して寝込んだ時に頼っていたアイテムたちです。湿布、めぐりズム蒸気でホットアイマスク、磁気ネックレス、鎮痛剤、ハンドクリームが手放せませんでした。
どの職業を選ぶかは本当に大切だと改めて実感しました。副業として条件が合えばありかもしれませんが、メインの仕事としてはおすすめできないと個人的には思っています。息子には勧めない仕事のひとつです。
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